2023/12/02
外壁塗装を行う際に、必要不可欠となる足場の設置。
費用がかさむことから、「できれば節約したい」「本当に必要なの?」と考える方も多いかと思います。
そこで今回は、外壁塗装に足場が必要な理由やその費用、トラブルを防ぐための確認ポイントなどについて解説します。
正しい足場の知識を身に付けることは、DIYで外壁塗装をしたいときにも役立ちます。
ぜひ、最後までご覧ください。
1. 外壁塗装足場の必要性と安全性
外壁塗装をする際に足場は必須となります。その理由と安全性について紹介します。
1-1. 足場設置で防ぐ飛散と近隣トラブル
足場の重要な機能の一つは、高圧洗浄水や塗料の飛散を防ぐことです。足場を設置せずに作業を行うと、自宅の庭や車だけでなく、近隣の住宅や通行人にも被害が及ぶ可能性があります。そのため、外壁塗装においては足場を組んで、飛沫防止シートを張る必要があります。 無用な被害や近隣トラブルを防ぐためにも、足場設置は大事です。1-2. 職人の作業効率と安全対策が向上
足場を設置することで、職人の作業効率と安全性が確保されます。外壁塗装では、職人が高所での作業や移動を行います。足元が不安定だと、バランスを崩して転倒したり、道具をうっかり落としたりする事故が起こりかねません。作業する職人だけでなく、通行人の安全を守るためにも、足場の設置は不可欠です。安定した頑丈な足場を組むことで、作業者は集中でき作業効率も向上するでしょう。1-3. 工事品質の確保と不具合の防止
外壁塗装においては、工事品質の確保と不具合の防止も重要です。塗装作業では、外壁に均一に力をかけて塗りムラや塗り残しをなくし、均等な厚みで塗料を仕上げる必要があります。
そのためにも、足元を安定させ、作業者が集中できる環境を整えなくてはいけません。
2. 足場費用の相場と見積もりのポイント
足場設置にかかる費用が気になる方は多いでしょう。費用の相場や異なる場合の要因、見積もり時に確認すべきポイントについて紹介します。
2-1. 塗装面積や足場種類による費用差
外壁全体に塗装を行う場合、足場費用は建物の外周をもとに大まかに計算できます。一般的に足場費用の相場は、1平方メートルあたり700円~1000円と言われています。足場の面積は、「足場の外周×足場の高さ」となりますが、基本的に足場は、建物の外周から0.5メートル程度離して設置されるため、それも含めることでより正確に計算できます。例えば、建物の外周が四角形だと考えると、あると仮定すれば、足場の外周は1つの辺が1メートル伸びるため、「建物の外周 + 4メートル」となります。また、足場の高さも建物の高さから0.5メートル程度高く組み立てるため、そちらも考慮します。
足場費用は次のように計算できます。
足場費用 = (建物の外周 + 4メートル) × (建物の高さ + 0.5メートル) × (1平方メートルあたりの費用)
建物の外周を35メートル(20坪程度)、建物の高さを6メートル(2階建て)、1平方メートルあたりの費用を800円とすると、
(35 + 4) × (6 + 0.5) × 800 = 202,800
となり、20万円程度かかることが分かります。
この金額は足場の設置だけでなく、飛沫防止シートの設置や作業完了後の足場解体も含まれます。さらに、このような塗装面積や足場面積の他にも、以下の条件で費用差が生じることがあります。
・運搬費が余分にかかる
・特殊な足場が必要になる
敷地への車のアクセスが難しい場合や、資材の運搬に手間がかかる場合は、追加の運搬費用が発生する可能性があります。マンションや高層ビルなどの場合も運搬コストがかかるため、通常の戸建て住宅より高い傾向があります。
その他にも、建物の形状や下屋根の有無によって、足場資材の増減が発生し、費用が変動することがあります。
2-2. 業者選びで影響する足場費用
業者の中には、「足場代無料」と謳って集客しているところもありますが、これには注意が必要です。足場の設置には資材費や人件費など、多くの費用がかかるものです。そのため、足場代を無料にすることは難しく、無料を謳っている業者は、その分、施工費や資材費の単価を上乗せしている可能性が高いです。安易に飛びつかずに、本当にお得なのかどうかを吟味することが大切です。
2-3. 見積もり時に確認すべき項目
塗装業者に見積もりを出してもらう時には、請負業者が瑕疵保険に加入しているかを確認しましょう。足場の設置や解体の際に、建物の外壁や窓、周囲の車や物などを傷つけてしまうことがあります。これが原因でトラブルに発展することも考えられます。業者が瑕疵保険に加入していれば、このような被害に対して補償を受けることができます。瑕疵保険に加入しているかどうか、その適用範囲が施主や工事関係者だけでなく、近隣住民にも有効であるかどうか、をきちんと調べておきましょう。
さらに、足場設置を下請け企業が行うこともあるため、実際に施工する業者が保険に加入しているかも確認しておくべきです。費用の見積もり時には、同じ条件で複数の業者から見積もりを取って比較検討する「相見積もり」が役立ちます。
3. 足場設置の流れと設置可能な場所
実際に足場を設置する際、どのような工程で行うのでしょうか?足場組み立ての工程とかかる時間、設置が難しい場所への対応について解説します。
3-1. 足場組み立ての工程と時間
通常の2階建ての戸建て住宅では、足場の組み立て作業は、作業員2~3人で6~8時間程度で終わります。一般的に使われる足場の一つに枠組み足場があります。
これは、工場で整形された部材を現場で組み上げることで設置作業を行います。 枠組足場の主な部材は以下になります。
・ジャッキベース・敷板
・建枠
・足場板
・筋交い
・ジョイント
足場設置の最初の作業はベースを使用した固定です。
ジャッキベースは、ベースとハンドルで構成され、敷板と組み合わせて、足場の最下部で全体を支えます。
ハンドルを回すことで高さを調節し、高低差がある場所でも安定した足場を設置できます。建枠は、足場を構成するメインの部材であり、筋交いは、建枠の間に斜めに設置して、足場を補強します。
ジョイントは、上下の建枠同士をつなげる役目があります。この作業を1層目、2層目と続けていき、最上層まで組み立てていくことで足場が完成します。
3-2. 狭い敷地や難しい場所への対応
足場の作業床は40センチメートル以上と定められており、両サイドの支柱を考慮すると、足場の幅には約60センチメートルのスペースが必要です。敷地内にこれを確保できない場合、隣家の敷地を借りて足場を組むことがあります。外壁塗装などで隣地の使用を請求できることは、民法でも定められています。もちろん、承諾を得られなければ、隣地に立ち入ることはできませんが、多くの場合、丁寧に申し出れば快く引き受けてもらえます。また、狭小地に特化した足場や、ロープアクセスを使用して足場を設置しない方法もあります。
ロープアクセスは屋上から吊るしたロープを利用し、壁に沿って上下左右に動いて作業する工法で、狭小な場所以外にも、建物の整備・点検などの高所作業で用いられています。
4. さまざまな足場の種類と特徴
足場の材質には、いくつか種類があり、それぞれ異なる利点や特徴があります。ここでは、その利点や特徴、そして、自立式や吊り足場などの足場がどのような場面で使われるのかについて解説します。
4-1. 一般的な鉄パイプ足場の利点
通常、足場材には鉄を主成分としたスチール製のものが利用されます。スチール製は、頑丈で安価という利点を持ちます。アルミ製より重量がありますが、その分たわみが少なく強度があります。また、メッキ加工がなされているため、純粋な鉄よりも錆びにくいという特徴もあります。足場板に関しても、アルミ製よりスチール製のものの方が1枚当たりの値段が安いです。4-2. 軽量で簡易なアルミパイプ足場
アルミ製の足場材は、軽量であり腐食に強いという特徴を持ちます。足場材が軽ければ、一度に多く運べるため、運搬費用を削減できます。高所での持ち運びも楽になり、作業員の負担が軽減され、作業効率が向上します。アルミ製は錆びにくく、経年劣化による強度の低下も少ないため、安全性にも優れています。4-3. 自立式や吊り足場の使用場面
作業の環境によって足場の組み立て方を変えることがあります。通常は、地面から上に組み上げる自立式の足場が使用されますが、下に川があるなどの特殊な場面では吊り足場が有効です。足場を組むのが難しい場面でも使用できる点が便利です。水平に足場を組むことで作業範囲が広がり、作業しやすくなることもメリットでしょう。ただし、高所での設置を行うため、落下事故のリスクが高まります。また「労働安全衛生規則」では、吊り足場の使用に関するルールが定められており、これらの基準を満たす必要があります。5. 足場トラブルの事例と防止策
足場設置の工事の際には、トラブルが発生する可能性があるため、事前に防止策を考えておくことが大切です。足場設置の確認ポイントと近隣住民への配慮と対策を紹介します。しっかりとした確認と配慮を行い、不必要なトラブルを回避しましょう。